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その他小説
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 尚人にそんな忠告をした馬鹿は、酒田達以外に有り得なかった。

 きっと尚人との関係に一喜一憂する俺様を見て、恋人が出来たと周りの人間共々勝手に勘違いしたのだろう。


 こんな事なら最初からBrightnessの奴らに対しては、俺様が好きなのは尚人だと宣言しておいた方が良かったのかもしれないが……。

 平凡な尚人に片思いしている事実を唯一知っている竜之介に、事ある毎にからかわれまくった所為で。

 ちゃんと決着つくまでは、これ以上誰にも言わないでおこうと心に誓っていたのだった。


 中途半端な態度が周囲に妙な誤解を与えた事を自覚した俺様は。

 少しだけ反省して怒りを和らげたのにも気付かず、尚人はうつむいたまま言葉を続けた。


「だっ、だけど昨日の話では、どうやら復縁したって噂で……。
 だから僕が作ったチョコはもう必要ないんだろうって思ったんです。
 高城様が本当に欲しかったのは、恋人からのチョコだったんだろうなって……」

「全部出鱈目だ。
 勝手な憶測で尚人に嘘ばっかり吹き込みやがって。
 あいつらは後でまとめて俺様がきっちり締めてやるから安心しろ」

「えぇ?あっ、そんなの駄目です!!」


 すっかりいつもの口調に戻って淡々と告げる俺様にも気付かずに。 

 泣くほど辛かったと言うのに、それでも酒田達をかばおうとする尚人に問いかける。


「何故だ!?そもそもあいつらが変なことを言い出したのが悪い。
 それさえなければ、尚人がそんな風に泣くこともなかったんだぞ!?」

「だって一応お世話になってるから……。
 そっ、それにみんなが本気で僕の事を心配してくれているのも知っているのでっ」

「………」

「本当に大丈夫です。
 ただのパシリの僕が、高城様に特別扱いされているって思い上がったのが悪かったんですから」


 話がなんだか妙な方向に流れているのは気付いたが。

 涙を拭って吹っ切れたような笑みを浮べる尚人の態度に、俺様は若干怯んだ。


「あ〜〜、さっきの話は……」

「高城様が誰にも本気にならないっていう噂も、前から知ってたのにホントに馬鹿ですよね、僕…っ」

「いや、それは…っ。
 売り言葉に買い言葉とか、言葉のアヤって奴で……」

「それじゃ気にせずこれからも、今まで通りお昼の準備しますね??」

「あ、あぁ、頼む。
 それよりもさっきの話だが、その……」

「あ、もう忘れて下さい。
 こうやって高城様と過ごすのも最後だと思ったら、つい感傷的になっただけなんで」

「………」


 さばさばとした表情でお弁当を並べ始めた尚人に、俺様はもう何も言い返す事は出来なかったのだ。



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あきゅろす。
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