その他小説
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尚人相手に、昨日は何人半殺しにした等と言う喧嘩自慢をした覚えもなければ。
昼休みだってそうだ。
頂きますを言い忘れた日があっても、ご馳走様だけは欠かさずに告げた。
言い過ぎは良くないと言われた褒め言葉を口にするのも、週1回だけと決めていて。
毎週金曜日にその週で1番良かった事を褒めるようにしていたんだが……。
やっぱりこの上から目線がまずかったのかもしれない。
それとも最近尚人にかかわり過ぎたのが悪かったのか……?
人と接する時の程よい距離というのが未だに掴めない俺様は、尚人にとってウザい存在だったとでも言うのだろうか!?
大抵の奴らは俺様が少し会話の相手をしただけでも大喜びすると言うのに。
やはり傍に居るのが当たり前の存在になってしまうと、ありがたみが薄れてしまうものなのかもしれない。
「もしかしてそれでわざと距離を置いたと言うのか……?」
そんな風に尚人が俺様をありがたがる必要はないのに。
それこそ空気のような存在だと思えば良いのだ。
“明日から俺様の事を透明人間だと思ってくれて構わない【輝】”
毎日の定期連絡よりも先に、そうメールした俺様に。
尚人から一体何があったのかと心配するメールが来たのは、その3分後だった。
そんな感じでまったく進展する気配もなく、時間だけが無駄に過ぎていった俺達だったが。
尚人が急に距離をとった理由がわかったのは、バレンタインデー当日のことだった──。
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