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その他小説
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 それから俺達はどんどん仲良くなるはず……だった、俺様の予定では。


「何故だ…っ、どこで失敗したんだ……」


 最初の一週間は、予想以上に順調だった。


 事前にうっとうしいあの女が居るかどうか、確認が出来るようになったお陰で。

 近所まで来たから……と言う理由をつけて店に立ち寄るのも可能になった。

 始めは事務的だったメールの内容もお互いが慣れるにつれ、どんどん私生活を交えた世間話が増えていったのだ。


 尚人から定期連絡が来る22時前後は、そわそわし過ぎだと竜之介に笑われる始末で。

 こんな風に誰かからのメールを楽しみにするなんて、俺様の今までの人生では考えられない出来事だった。


 だがしかし。

 例え片思いと言えど、特別な存在が居ると言うのは、生活に潤いがあって良いと思えたのは。

 定期連絡を始めてちょうど2週間目までだった。


 ある日を境に何故か尚人からのメールは、元の事務的な物へと逆戻りしてしまったのだ。



 ひとつ、口調は出来るだけソフトに

 ひとつ、しつこく問い詰めない

 ひとつ、自慢話はしない

 ひとつ、相手の友人関係に口を挟まない

 ひとつ、感謝の気持ちは素直に表現する

 ひとつ、褒め過ぎは信憑性がなくなるのでほどほどに……。


 前もって人付き合いに長けている竜之介に教わった通り、一般人に嫌われない為の極意はメールでも忠実に守っていた。


 Brightnessの奴らを相手にする時と比較して。

 尚人に対しては何百倍も優しく・愛想良く・謙虚に接していたはずなのに、一体俺様の何が悪かったと言うのだろう??




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あきゅろす。
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