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結局その日は少し時間を潰した後、隣接市の創作スイーツで有名なティーラウンジへと足を運んだ。
流石にここまでくれば、知り合いに見つかることもないだろうと踏んだのだが。
「相変わらず高城様、注目浴びてますね……」
「うっ、煩い。男二人だから余計に目立つんだろ?!」
自慢の顔に喧嘩の痕が生々しく残る不良の俺様と、争いとは無縁そうな温和な顔立ちの尚人とでは、接点など簡単に見出せるはずもなく。
更に大半が女性客では、どうしても悪目立ちしてしまうのだ。
名目上は尚人のレパートリーを増やす為の研究に来たのだが。
初めて学校と自宅以外で尚人と過ごす俺様にとっては、ツーリングデートと言っても過言ではないはずで。
こんなことなら適当にテイクアウトすれば良かったと思いながら、黙ってブラックコーヒーを啜る俺様とは対照的に。
「大体レシピはわかったので、今度試しに作ってみますね?」
本日のお勧めスイーツを目と舌で味わいながら、幸せそうにミルクティーを口にする尚人を目にした途端。
少しだけ自分の機嫌が回復するのがわかった。
「あぁ、楽しみにしてる」
「今度こう言う場所に来る時は、高城様が食べたい奴を選んで下さいね?
僕に出来る範囲で忠実に再現しますから」
ね?と念を押す、尚人に俺様は小さく頷いた。
そうやって人前では甘い物を食べれない俺様を気遣ってくれる尚人に。
それは婆やの勘違いだと訂正する気は最早起きず。
今度がある事に気を良くした俺様は、突き刺さるような視線も居心地の悪ささえも気にならなくなっていた。
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