その他小説
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「高城様、流石に5分はちょっと無理じゃないっすか??
どんなに頑張っても教室からは10分以上かかりますよ??」
「………」
あーあと嘆きながらキャッチし損ねた携帯を拾い上げ、壊れてないかチェックする酒田に。
完全に八つ当たりの自覚がある俺様は、形だけとは言え素直に謝罪の言葉を口にする。
「ふん、悪かったな?修理でも機種変でも好きにしろ。
後で請求書は俺様に回せ……って、何だその顔は、あ゙ぁ!?」
「いやなんでもないっす!!
高城様がこの手の事で謝罪したの初めてだとか、すっかり丸くなっただなんて、これっぽっちも思ってないっす!!」
「テメエ、それ以上言ったらぶっ殺すぞ…っ」
「あ、いや、その……」
どこの世界に部下に丸くなったと言われて喜ぶ奴が居る!?
自分でもそれなりに自覚はあったが、人に指摘されると死ぬほど恥ずかしいのだ。
俺様を羞恥死させるぐらいならお前が死ね!!とばかりに、殺気を隠そうともせず胸倉をつかみ上げると。
マジ切れした俺様を誰よりも知っている酒田は口をパクパクさせた。
ニヤけた面を一発殴ってチャラにしようと拳を振り上げた時。
バーンと激しい音をたてて、建付けの悪い屋上のドアが開いた。
「はぁはぁ…っ、たっ、高城様、遅れてすみませんでしたーーーっ!!」
緊迫する空気にも気付かず、土下座する勢いで頭を下げる尚人の登場に。
毒気を抜かれた俺様は拳を下ろし、酒田をつかんでいた手を離した。
「8分か……まぁまぁだな?」
「5分なんて逆立ちしても無理です!!」
「ふん、そんな事ぐらい最初からわかってる……って、尚人、荷物はそれだけか?」
携帯を握り締めたまま膝を付く尚人に近づいて、そう問いかけると。
え?と小さく呟いた尚人は、きょとんとした顔で見上げてきた。
「あぁ…っ、机の上片付ける余裕もなかったんで、その、電話が切れると同時にダッシュしましたし……」
待たせるなって言ったじゃないですか……とぼやく尚人の目には、きっと酒田の姿は映ってないのだろう。
俺様を恨めしそうに見上げるなんて、Brightnessの奴らが居る前では絶対にしない。
二人きりの時以外はそれこそ借りてきた猫状態で、尚人は普段以上に目立たないように振舞っているのだ。
緩みそうになる口元をわざと引き締め、俺様は尚人の右腕をつかんで立ち上がらせた。
久しぶりに逢った尚人は、休み前よりも少し髪が短くなっていて。
その触り心地の良さそうな髪に触れようと逆の手を伸ばした時。
「あの……高城様、俺はどうしたら??」
背後から恐る恐る話しかけてきた酒田の声に反応して、尚人の身体がビシッと硬直した。
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