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その他小説
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 慌てて時計を確認しようとすると、もう良いと言葉で制される。


「何があっても、昼休みが始まって10分以内に来いといつも言ってるだろ?
 貴様、この俺様を飢え死にさせる気か??」


 今時俺様も流行らないと思うけど……。

 目の前の暴君がその台詞を吐いても、誰も文句を言ったりしないのだ。


 だって彼はこの辺りでも有名な、Brightness【ブライトネス】と言う名の族の総長で。

 更に言えば、お金持ちのご子息様で、無駄に美形で頭も良い彼は。

 たとえ言動が少し人とは違っていたとしても、校内で1,2を争う人気者だった。


「いえ、そんな滅相も無い!!
 きょ…っ、今日は高城様の大好きな豆腐ハンバーグを作ってきましたので、どうぞお許し下さい〜〜っ」


 俺様、何様、高城様。

 僕のお昼休みは、この偉そうな高城 輝【たかぎ ひかる】様によって支配されていた。


 慌ててお弁当箱を並べる僕のポジションは、彼のお昼ごはん担当。

 いわゆるパシリの1つだろう。

 高城様の手に箸をお渡しし、急いでポットからお茶を入れる僕の姿を、誰が目撃してもそう表現すると思う。


 但し今現在、この屋上には僕達以外誰も居なくて。

 食事中に邪魔されたくない高城様が、人払いをしていると言う話だった。


 こうやって高城様と2人っきりで食事をしても。

 僕が平々凡々すぎるが故に、まるっきり噂にもならないのだけどね?


 それを良い事に、高城様と言うお方は。


「お前が食わせろ。……遅刻のペナルティーだ」


 不機嫌そうにそう告げて、ご自分の箸をポイッと投げ捨てた。



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