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その他小説
16


 俺に関しては終始そんな態度だと言うのに。

 何故か尚人は、酒田を始めとするBrightness関係者を異常に怖がっていた。


 不思議に思って無理矢理口を割らせると。

 どうやら俺様と一緒に昼休みを過ごすにあたって、酒田達からいくつかの心得を伝授されたそうだ。

 例えば、知らない奴からの預かり物はするなとか、俺様の機嫌を損ねた時は昼休み中に必ず修復するようにといった具合に。

 それらの条件が守れない時は、副長権限で排除すると脅されていたらしい。


 とは言っても俺様自身、尚人に危害を加えた奴はぶっ殺すと宣言してあるから、あいつらが直接何かをした訳ではないだろう。

 名前を使われている竜之介も、俺様が毎日午前中から学校に顔を出すようになった事を喜んでいるから尚更だ。

 どうやら言葉通りただの脅しでしかないそれは、尚人への牽制の意味合いが濃いようだった。


 但し尚人が忠実にそれを守っていると言う事は、俺様との昼飯を喜んでいるという都合の良い解釈も出来る訳で。

 それなら茶番劇につきあってやろうと、俺様なりに尚人の言い分を受け入れる事にした。


 その影響は微妙なところにも表れていて。

 一番大きかったのは、俺様が別件で機嫌が悪い時でも、身内に八つ当たり出来なくなった事だろう。

 それもこれも過去の過ちによる求心力低下が最大の原因なのだから、表立っては誰にも文句は言えなかったのだが。


 だからと言って、一方的に俺様ばかりが振り回されているのも癪で。

 少しは尚人に俺様を意識させようと画策してみるものの。

 弁当のお礼と称してデートに誘えば、見返りを求めるなと言われてますと笑顔で固辞され。

 それならと強引に自宅に連れ込めば、俺様を放置して婆やに料理を習いだす始末だった。


 そんな向上心と持ち前の器用さで、料理初心者だった尚人はみるみるうちに上達していった。

 婆やから月に数度料理を習うようになってからは、高城家の味付けまでもを再現し始めていて。

 その事を素直に褒めれば、尚人は嬉しそうにはにかみながら。


「それじゃ、いつでもお嫁にいけますね?」


 なんて言われたら、俺様にプロポーズさせたいのかと勘繰っても仕方がないだろう!?

 実際はただの深読みだなんて事は、俺様が一番わかっていたのだが。



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