その他小説
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二人きりになったところで、どうしてもひとつだけ確認したい事があって。
「牧野 尚人……。
お前、まさか俺様の事を忘れたなんて言ったら、どうなるかわかってるんだろうな!?」
「そっ、そりゃ覚えてるに決まってるじゃないですか?
高城様のようなインパクトの強い方を、忘れたくても忘れられるはずがないでしょう…っ」
尚人のその返答に内心ホッとした。
その頃には既に、しょうもないプライドは自分の首を絞めるだけだと悟っては居たが……。
一方的にとは言え、俺様の人生に多大な影響を与えた癖に。
逆に尚人の記憶の片隅にすら残っていないなんて状況は、どうしても許しがたいものがあったのだ。
「じゃあ、何故目をそらした?
挨拶のひとつぐらい、しても良いんじゃねぇのか??」
「でっ、でも、僕のような一般人が気安く話しかけると、後で痛い目に遭うって聞いてたので…っ」
「………」
確かに冷静になれば、尚人の言い分は理解できる。
大した用もないのに馴れ馴れしく話しかけようものなら……。
その一部始終を見ていた酒田が、俺様の預かり知らぬところでこっそり尚人をシメていた可能性が高いだろう。
そんな状況になったのは俺様自身に問題があって。
残念ながらその事について、とやかく文句を言える立場にないのだ。
「話はそれだけですか??
じゃあ、僕……授業に戻りますね?」
「………」
無理やり連れて来たは良いが、俺様だって尚人に特別言いたい事があった訳でもなかった。
何も答えない俺様に、尚人はぺこりと会釈して屋上から立ち去ろうとした……が。
「…っ、待て、話は終わってない」
「え?」
ほとんど無意識のうちに、俺様は尚人の腕をつかんでいた。
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