その他小説
12
そんな事を眠い頭でぼんやり考えていると。
酒田が何かを思い出したように提案して来た。
「そう言えば、今日保険医半休らしいっすよ?
どうせ皆も居るだろうし、保健室行くなら俺も付き合います」
「うーん、じゃあそうするか……」
竜之介には後でメールすれば良いだろう。
本気で重要な用なら、起こしに来てくれるはずだ……多分。
その時、偶然通りかかった生徒達に酒田が話しかけた。
「あ、いいんちょー、いいところに。
俺、次の時間、保健室だからよろしく〜〜」
「了解、腹痛で良いよね?」
「ん〜〜、この間も腹痛だったから、歯痛で」
「そんなの保健室じゃ治らないよっ!」
談笑している酒田とそのクラスメイト達の会話の隣で。
偶然、俺様と目が合った奴の動きがピタリと止まった。
「牧野 尚人……」
「高城様、牧野と知り合いっすか??」
呆然とする俺の呟きは、すぐ隣にいた酒田にしか届かなかったらしい。
そのまま数秒間見つめあった後。
ふいっと目をそらして先を急ごうとする尚人の態度に、脳内で何かがブチッと切れた気がして。
「酒田、アイツを捕獲しろっ!!」
「え?あ、はい、了解っす」
後先考えずに俺様がそう命令を下せば。
その台詞に素早く反応した酒田は、尚人の背後へ回り左腕関節をきめて動きを拘束した。
「痛っっ、ええっ、急に何!?」
何故か激しく抵抗する尚人に、言い表せない感情が渦巻く。
そのまま無言で特別教棟の屋上まで連行した俺様は、先客の生徒達を威嚇して酒田共々追い出したのだった。
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