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その他小説
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 少々長引いた授業が終わるとほぼ同時に。

 クラスの可愛い子達が真っ赤な顔で、僕に差し入れらしきものを手渡してくる。


「牧野…っ、これ、お願いします!!」

「僕も!!読んでもらえるだけで良いから…っ」

「あーー、ごめんね?食べ物は遠慮してるんだ。
 それなりに敵が多くて、不特定多数からの頂き物を口にするのが怖いからね?
 良かったらこっちの手紙だけ受け取るよ?」


 出来るだけ相手を刺激しないように、無害そうな笑みを浮かべながら断るのももう慣れた。

 かれこれ半年位続いている状況だからね?


 うちの学校は男子校で、どうやら男同士の恋愛と言う物が流行っているらしい。

 だからと言って平凡な僕が、その恋愛対象になると言う訳ではなくて……。


「なおちゃん、相変わらず昼休みはモテモテだねー?」


 そう言ってニヤニヤ笑いを浮かべるのは、隣の席の酒田。

 少々不良っぽい彼は、クラス1のイケメンだ。


「そんなの…っ、僕宛てじゃないのはお前が一番知ってるだろ!?」


 そんな彼と平凡な僕が親しい理由は、時間が無いから後で話すとして。

 僕は慌ててお弁当の入った袋と、クラスメイトから預かった差し入れを持って教室を後にした。


 目指すは、特別教棟の屋上で。

 どんなに急いで向かっても5分は絶対にかかるのだ。


「すっ、すみません…っ、授業が終わるのが遅くて…っ!!」


 階段を3段跳びで駆け上がり、はぁはぁ言いながら屋上の扉を開けた僕に。


「……遅い。一体俺様を何分待たせる気だ?」


 無常な台詞を投げつける暴君が、不機嫌そうな顔でこちらを振り向いた。



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あきゅろす。
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