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その他小説
3


 実際その時の俺様は、ただ単にあの女に文句が言いたかっただけで。

 いつもと同じ味のケーキに固執していたわけではなかったのだ。


 口論相手の姿が見えなくなった事で、急激に熱が冷めた俺様は。

 チッと1つ舌打ちをして店を後にした。



 その後、仲間達と合流し。

 俺様の誕生祝いとばかりに、敵対するグループを1つ潰してうさ晴らしをした後。


 当時の俺様がほぼ寝泊りしていたこの倉庫に戻ってきたところで、ふと何の気なしに携帯を確認すると。

 留守電が1件登録されているのに気付いた。


「……今日は帰ることにする」


 傍らに居た竜之介にそう告げ、俺様は慌てて帰宅した。


 その留守電は婆やからで。

 俺様の機嫌を損ねた事に対する謝罪と。

 今回の責任を取って退職する代わりに、最後に尚人が作ったケーキを食べてくれという懇願と言う名の脅しだった。 


 畜生…っ、俺様がその言葉に弱いのに気付いていて、緊急で呼び出す時には必ず責任問題を使うのだ。

 ほとんど家に居ない母親に代わって、俺様を育ててくれたのは婆やで。


 俺様の性格も好みも熟知していて。

 こうやって昼間食べ損なったケーキを、いやいやながら口にする理由まで準備されてしまったらしょうがない。


 少々言い訳がましいが……。

 婆やを引き止める為に、止むを得なく俺様は帰宅したのだった。



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あきゅろす。
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