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White or Black?!
畜生、イライラする…っ。
何に対してって、目の前でゆるい笑顔を見せているコイツにだ。
ここは俺達が溜まり場にしている、街外れの古びた倉庫。
長い間使われてなかったここは一応高城家の管理物件だから、遠慮なく私物を持ち込んでいる。
今俺様がもたれているお気に入りのカウチソファーもそうだ。
左ワンアームのこれは、クッションを枕に寝そべるのにちょうどいい。
さっきまで上機嫌だった俺様の機嫌が急降下したのに気付いたコイツ……酒田 透【さかた とおる】は、その顔からにやけた笑いを消した。
「えっと、高城様……?
俺、何も気に障る様な事言ってないっすよね??」
「………」
「それとも勝手に差し入れ受け取ったのがお気に召さなかったって事っすか!?
でもあいつんちって有名な洋菓子店で、うちのメンバーも好きな奴多い──」
「もういい、黙れ」
そんな事、言われなくても俺様が一番良く知っている。
ふぃと酒田から目をそらすと、幼馴染で片腕でもある副長の九重 竜之介【ここのえ りゅうのすけ】と目が合う。
どうやら俺様が機嫌が悪くなった理由にも感づいたらしい。
顔の表情はまったく変わらないが、目だけが笑ってるぞ!?
「輝が急に機嫌が悪くなる事なんて日常茶飯事だろ?
気にしなくて良いから、それはあっちで皆と食べて来い」
「あ、はい……」
むすっと黙りこくっている俺様をフォローするように、竜之介が酒田の肩を叩いて追いやった。
静まり返っていた空間にいつも通りの喧騒が戻ったのを確認して。
1つため息をついてから、ずるずるとカウチに寝そべって目を瞑ろうとすると。
「で、どっちに怒ったんだ?」
「あ゙ぁ?」
そのまま立ち去ると思っていた竜之介が、面白そうな顔で俺様に問いかけてくる。
寝るのを邪魔されて更に不機嫌になる俺様がいくら睨んだところで、付き合いの長いコイツにはまったく効果はないのだが……。
「どうせ酒田が“なおちゃん”って親しそうに呼んだ事か、チョコの差し入れ貰った事にキレたんだろう?」
「………」
「あの平凡のどこがそんなに気に入ってるのかねぇ?
確かに性格だけは良さそうだけど、あれくらいならそこら辺に掃いて捨てるほど居るだろ?」
「うるさい、そんなの俺様の勝手だ」
「まぁ、別に良いけどね。
“なおちゃん”とのランチデートの為だけに、輝が毎日朝から学校行くようになった事だけでも感謝しないとなぁ?」
竜之介の呆れたような声色に、俺様は黙りこくるしかなかった。
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