その他小説
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そうして、高城様専属パティシエに任命された僕は。
次の日から、2人きりで昼食を食べる様になった。
昼ごはんをデザートだけで済ませようとする高城様に、それならお弁当も作ると提案したのは僕で。
あれは嫌い、コレはこうしろと。
改善要求を突きつける高城様の望むままに作っているうちに。
いつの間にか僕の料理の腕はめきめきと上達していって。
普通の高校生の趣味が、お菓子作りと料理ってどうなんだろう?と思う時もあるけど。
たまにおいしいと言われるとやっぱり嬉しくて。
たとえパシリでも良いかなぁ?と思う僕も、きっと父や姉と同じお菓子職人の道を歩むのだろう。
そんな事を考えていると。
「……明後日はどうするんだ?」
「へ?あっ、すみません。
もう一度お願いします、ボーっとしてました…っ」
僕がそう聞き直すと、途端に高城様は不機嫌になった。
うぁああ…っ、これは久々にマズイかも!?
最近、酒田もSっ気に目覚めたとか言ってたのにっ!!
僕が聞いてもいないのに、今度のお仕置きはコレで行くよ?等と語る酒田は、絶対友達なんかじゃないよね!?
「申し訳ありません…っ、何でもリクエスト聞くんで許して下さい…っ」
慌てて、僕がそう懇願すると。
暫く間を置いて、高城様がボソリと呟いた。
「……チョコなら何でも良い」
「あーー、はい。了解です…っ」
目の前の高城様だけじゃなくて、僕もきっと真っ赤になっているんだろうなぁ?
──そんな2月のお話。
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