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飼い主の条件
4
 
 言葉が通じない所為か……。

 異常に人懐っこくてスキンシップの多いこの少年に、俺は激しく動揺していた。


 いくら可愛くても少年は男の子で。

 俺はこの学園で3年以上ノーマルである事を死守してきたんだから、今更宗旨替えする気もなくて。

 その上、少年とはまともにコミュニケーションすら取れないんだぞ!?

 そんな事を考えている時点でアウトなんだけど、テンパっている俺にはわからなかった。


 人の気も知らないで、もごもごと上用饅頭を頬張る少年の動きが小動物っぽいのが悪いのだ。
 
 手についた餡子を舐める仕草なんて、猫の毛繕いを彷彿とさせて……こうやって見ているだけで悶死モノに可愛くて。

 幼い頃、校庭の隅っこで友達と餌付けしていた野良猫を思い出した。


 もしも本当に行く宛がないのなら連れて帰りたい衝動に駆られたが。

 流石に犬猫の子供を拾うのとは訳が違うのだから。


 それ以前に俺は一人部屋と言っても寮生活だ。

 ハムスターみたいにゲージに閉じ込めておく訳にはいかない以上、本人にきちんと理解してもらわなければすぐに人にバレてしまうだろう。

 可哀想だけどやっぱり守衛を通して、警察に引き渡すのが一番なんだろうなぁ?


 そんな事をぼーっと考えていた所為で、少年の思いもよらない行動に反応が遅れてしまう。

 気が付いた時には、少年の腕が俺の首に回って居て。

 にっこり微笑んだと思ったら、次の瞬間口を塞がれた。


 ……もちろん少年の唇によって、だ。

 

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