飼い主の条件
6
「君、大丈夫か?」
俺は声を掛けながら膝を地面に着き、腕に抱きかかえるようにしてその少年を揺すってみる。
少年は何故か気持ち良さそうな顔でむにゃむにゃ呟いていたが、何を言ったのか良く聞き取れず俺は顔を覗き込む。
「ん……」
顔に掛かる髪を避けてやると、少年は小さく身動ぎして呻いた。
急に動かれた為、その体を取り落としそうになった俺は、慌てて抱きとめると。
結果的にぎゅっと少年を抱きしめる形になり……。
よくよく考えて見れば、この体勢はどう見ても俺が寝込みを襲ってる様にしか思えない。
意識すれば急激に恥ずかしくなるもので。
俺は一旦落ち着こうと、その少年の体をそっと地面に横たえる。
そのまま身を引こうとした瞬間、急にぱちりとその瞳が開いた。
「○※■+◇@▼*!!」
覚醒した途端、聞いたことのない言語で叫ぶ少年を俺は冷静に観察する。
状況に驚いて目を見開く少年の瞳は茶色で……。
予想が外れた事に少なからずがっかりした自分に苦笑する。
なんだか急に猫達に逢いたくなって、今週末実家に戻るかなぁ?等と、ぼんやり考えていると。
目の前の少年から強い視線を感じた。
その瞳を見つめ返すと、更に少年の瞳は熱を帯びて……。
その真剣な眼差しは。
普段から無駄に付きまとってくるファンと称する奴らのモノと、少しだけ似ている様な気がした──。
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