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青蓮学園物語
X-Day前日【集会】
 その後、僕以外の同席者に責められ続けた蓮見先生は。

 昼休み終了10分前を告げる予鈴がなると同時に、戸締りすると言う名目で僕達を視聴覚準備室から追い出した。



 智兄と2人、急ぎ足で第一体育館に向かう間。

 僕は先ほど聞いた新展開に思いを馳せる。


 たとえ僕が知らないうちに、正式入部になっていたとしても……。

 今まで通り、行きたい時にふらりと顔出す程度で良いのなら、決して悪い条件じゃないよね?

 それこそ部外者なのに、オヤツの恩恵に預かっていた時よりも遠慮なく伺えるのは確かで。


 そして僕が今、学園を去ると蓮見先生が困る理由。

 どうやら同好会と言えど専属の者が5人以上居れば、バスケ部等の通常の部活動と同等の待遇が受けられるそうだ。


 はっきり言ってしまえば。

 活動予算とは別で、高額な備品の購入等が必要な場合に、生徒会に稟議書を提出する権利が与えられるらしい。

 イコール生徒会顧問の蓮見先生が最終的に承認するのだから、それはほぼ無条件に通過する訳で。


 そう言う事もあって、僕を勝手に正式部員に登録したそうなんだけど。

 どうやら僕が居ても居なくても、青蓮祭終了後3年生2人が引退すると同時に、その権利を手放す事になるらしい。


 なら何故そこまで僕に拘ったかと言うと──。


『はぁ…っ、僕が居れば、あきちゃんと楓も勧誘しやすいからだなんて…っ』

「さっきの話か?」
 

 思わず漏れた僕の呟きに、3歩先を歩く智兄が振り返った。


 そうなのだ、今まで生徒会にしか所属して居なかったあきちゃんは。

 任期満了と同時に僕と一緒に部活始めるんだと、あちこちで公言していたし。


 楓は楓で、別の同好会の幽霊部員と言う状況に。

 蓮見先生は前々から狙いを付けていたそうだ。

 だけど楓自身、他人と関わるのを避けている節があって。

 下手に勧誘しても、一筋縄ではいかないだろうと諦めかけていたらしい。


 なのに僕には心を開きかけていると優から聞いた瞬間、閃いたそうだ。

 僕を言い包(くる)めて部員にさえすれば、ほっといても僕が2人を勝手に勧誘するだろうと。


 はぁ…っ、言い含(ふく)めるじゃなくて、言い包めると表現する辺りが嫌な感じなんだけど…っ。

 言葉は似ているけど、言い含めるは納得がいくように説明すると言う意味で。

 言い包めるは、口先でまるめこむって意味だよ!?



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あきゅろす。
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