青蓮学園物語
10
僕達3人の追及の目に一瞬怯んだ蓮見先生は、軽く逡巡した後。
「だっ、だから……その話をする為に相川を呼んだんじゃねーか…っ」
『え?転校の話じゃなくて?』
僕の問いかけに、そうだと頷く蓮見先生。
微妙に目が泳いでる様に感じるのは、僕の気のせいなんかじゃないよね??
「お前、何かまだ隠してるだろ??
わざわざ夏目や俺まで同席させた以上は、このまま誤魔化し徹せるなんて思うなよ??」
話が見えなくて混乱する僕の気持ちを代弁するかの様に、如月さんが厳しい表情で問い詰めた。
えぇ…っ、なんだか微妙に人格変わってないか!?
その低い声は僕が知ってる如月さんのモノとは異なっていて。
智兄と痴話喧嘩中の呆れたような物言いともかけ離れていた。
最近周囲の人の二面性を目にする機会が多いけど……。
大抵そういうタイプは、普段は良い人そうなオーラが出ていて。
今までわかり辛い性格をしていると思っていた久我なんかよりも、何百倍も真意が理解し辛いんだけど…っ。
如月さんや優みたいに、たまにぶち切れるタイプだと。
その影響力と言うか、周りに与える衝撃は計り知れないものがあって。
そう考えると……。
逆に僕や翔太の様に元々喜怒哀楽の激しいタイプは。
少々ムッとしたぐらいでも、いつもの事だと簡単に受け流されてしまうんだよね?
最近じゃ僕が少々涙を浮かべていても、皆見てみぬフリだった。
まぁ、それは別に良いんだけど…ね。
如月さんの第一人称が他人の前でも『私』から『俺』に変わっている事と同じぐらい、僕にとっては些細な変化だった。
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