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青蓮学園物語
8


 先生達に促されて、視聴覚準備室に入ると。


「相川……食事まだならコーヒー入れてやるけど、ここに牛乳はないぞ?
 もしくは玄米茶だが……流石にパンに玄米茶はないだろ……」


 僕が手にしたままのパンを目にした如月さんが問いかけて来た。


『あ…っ、それならフレッシュ2個で…っ』

「如月ちゃん、悪いけどシュガー2本で甘くしてやって。
 こいつお子ちゃまだから、違う飲み物にしないとコーヒー飲めないから」

「了解。蓮見と夏目はブラックで良いんだな?」

「如月、俺は茶で」

「いちいち面倒くさい事を言うな!どうしても茶が良いなら自分で入れやがれ!!」

「あははっ、如月ちゃん。しょうがないから俺が手伝うよ」


 3人の会話はそのまま続いていたけど。

 僕はパンの袋を開けながら、ぼんやり考えていた。


 智兄も如月さんも凄いよね。

 蓮見先生が居るからか、仲が良い普通の先生と生徒の会話になっている。


 当たり前だけど、2人の呼び方もいつもと異なっていて。

 智兄の少し砕けた親しげな口調やそのニコニコとした表情は、万人受けするもので。

 きっと如月さん以外の教師に対しても、普段はこんな風に接しているのだろう。


 それに妙な居心地の悪さを感じる僕の方が、この場では異端なんだろうなぁ……?

 その微笑みは確かに綺麗だけど、全く感情伴ってないから…っ。


 智兄の本気の笑みって言うのは。

 裏に含む感情が悪魔的であれ、無邪気であれ。

 もっとこう背中の辺りがゾクゾクするようなもので。


 それを普段目の当たりにしているはずの如月さんも。

 今はそ知らぬ顔で、普通に笑顔を返していた。


 何が違和感って、ここがもし寮監室なら。

 如月さんはあの智兄に対して、無駄な愛想を振りまいたりしないのにーーーーー!!


 お互い演じているからこその仲睦まじさに。


「あいつら教師と生徒って言うより、血の繋がらない兄弟か世代を超えた友人同士に見えるのは気のせいか??」


 しっかり騙されている僕の担任は、如月さんの親友じゃなかったのか!?



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