青蓮学園物語
7
「勝手にしろよ?これ以上春樹の面倒は見切れない……の方が良かった?」
『さっ、智兄?何……で、ここに?』
少しからかうようなその声色は、僕のもう1人の幼馴染のもので。
ワザと弟の声に似せていても、聞きなれた僕にはわかるんだけど…っ。
「何でって、蓮見センセに呼び出されたからに決まってるだろ?
用事もないのに、俺がわざわざ特別教棟なんかに来るとでも思ってるの?」
『え…っ、智兄も?い…っ、一体、何の話なんだろ…っ?』
驚きで涙が引っ込んだ僕を、智兄が呆れた顔で見下ろしてくる。
「何って、きっと3者面談だろ?
誰かさんがおかしな行動ばっかりするから、俺まで事情聞かれるんじゃないのか?」
困ったもんだと溜め息交じりに呟く智兄の表情は、普段と全く変わらないもので。
僕の悩みの1つは、完全に早とちりだった事を物語っていた。
『僕の事、避けてた訳じゃなかったんだ……』
「ん?それって、俺の事か?」
その問い掛けに、僕が小さく頷くと。
智兄は一瞬驚いたような表情を浮かべた。
「はぁ…っ、ほんっとお前ってメンドクサイ奴だなぁ?!
少しは反省してたのがバカバカしいよ……」
『な…っ、そんな言い方しなくてもいいだろ!?』
「大体ね、春樹の方がもう構うなって言ったんだろ??
人が仏心を出して、明日まではそっとしておいてやろうと思えば。
今度は避けられたって嘆くのか?」
『だって智兄の場合、極端すぎるんだよーーー!!』
それならそうだってちゃんと言ってくれたら、僕だってこんな風には悩まなかったのに…っ。
やれやれと言わんばかりの智兄に、更に文句を言おうとした時。
「一体いつになったら入ってくるんだ?」
「ホントに相変わらずだな、お前らは……」
呆れ顔の蓮見先生と如月さんが、視聴覚準備室から顔を出した──。
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