青蓮学園物語
6
誤解されてそうな人も4、5人ぐらいまでなら、なんとなく想像もつくけど……。
後の数人がどうしてもわからないんだけどっ!?
僕よりは確実に把握してそうな翔太を縋る様に見つめると、一瞬困った様な笑みを浮かべた後ゆっくりと口を開く。
「ハルが想像しとんのは誰なん?」
『えーっと。あきちゃんと碧でしょ?
んで、一時期悪戯に関わってきた須藤、あとは駆さん……ぐらい?』
あきちゃんや碧は誤解されてもおかしくないぐらい仲良しだから良いとしても、後半の二人は今となってはほとんど関わりすらないんだけど!?
「まぁ、そこまでは当たりやな。
特に駆先輩は今まで晶以外に浮いた噂全くなかったからなぁ?」
翔太の言ってる事は、今までもなんとなく肌に感じていた。
駆さんのファンは遠巻きに憧れている人が多いんだよねぇ?
むしろ恋人になりたいと言うよりかは、あきちゃんとの先輩・後輩の延長的な自然な関係が人気らしいから。
それがいきなり沸いて出た転校生が、簡単に弟的ポジションを得て生徒会室に出入りしているのを目の当たりにして。
その手があったのか……と、二番煎じを企む声を一時はよく耳にしたからね?
人前でも気にせず頭を撫でてくる駆さんは、前に一度冗談で智兄に歩さんとトレードしたいと申し出てたけど。
智兄がそんなの認める訳もなくて。
むしろ歩さんの面倒見るのが嫌で放棄したいだけだろ?と切り替えされていた。
そんな事をぼんやり思い出していた僕の様子に。
深く考え込んでいると勘違いしたのか、眞鍋は残りの噂を口にする。
「他には久我さんと誰かをめぐっての三角関係とか、ノンケで有名な金子さんの初スキャンダルのお相手って言うのもありましたね。
そうそう、現生徒会長が一方的にすごく気にしてるのも噂になってますよ?
後はあの面倒臭がりの蓮見先生が妙に肩入れしてるとか……」
『ぜっ、全部誤解だよ…っ!!』
南条とは友達と呼べるほど親しくないし、クラス委員の優や担任の蓮見先生は僕が転校生だから必要以上に面倒みてくれてるだけだよ…っ。
そして久我と取り合ってる誰かって間違いなく楓を指してるんだよね?
日に日に関係が険悪になってるのは間違いないから……。
知らない人が今の状況を見れば、完全に噂を肯定する結果になるんだろうなぁ?
「って事で、相川さん?好きになっても良いですか?」
「アカンにきまっとるやろ、ボケッ!!!」
眞鍋の告白にも似た宣言に。
僕が反応するより早く、翔太が力いっぱい否定した。
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