青蓮学園物語
11
流石の翔太もその声色に何か感じるものがあったのか、大きくため息をついてから問いかけ直す。
「んで、何なん?」
「あー、ちょっとここでは言い難いんですが……」
きょろきょろと周囲を気にしだす眞鍋の様子に、野次馬モードのクラスメイト達の大半が重い腰を上げた。
流石に当事者の楓達も居ない今、これ以上の話の進展はないと思ったんだろう。
だって既に違う話に移ってるもんね。
少し離れたところに居る2、3人を残して、ほぼ引き上げたのを確認して。
眞鍋は真剣な顔で口を開いた。
「あのですね……。
馬鹿みたいな話なんですけど、俺にとっては死活問題で」
「わかったから、はよ本題入れや」
折角ハルと二人でのんびり過ごそうと思っとったのに……と呟く翔太に。
「そう、それなんですよっ!!」
「急にそれ言われても、わかるかボケっ!!」
眞鍋は我が意を得たり、とばかりに叫んだ。
それにテンポ良くつっこむ翔太の様子を見ていると、なんだか僕だけ疎外感を感じるんだけどなぁ?
……但し、話は全く噛み合ってないけどね。
うーん、折角大雨で翔太のクラブ休みなのにな?
最近いろいろあってバタバタしてたから……。
僕も早く帰って翔太と二人でゆっくりしたいなぁ?と、ぼんやり考えていると。
「あのっ、どうやったら俺も、相川さんの事が好きになれますか!?」
「はぁ?お前、本気でゆっとんのか?」
えぇぇぇ!?なんでそうなるんだよーーーー!?
イキナリ過ぎる眞鍋の爆弾発言に。
翔太の顔からは完全に笑みが消え、僕を抱き寄せていた腕に少しだけ力が入るのが感じ取れた。
「佐藤さんと違って、いつだって本気ですよ?
俺と一緒でずっとノンケだった佐藤さんが、急に宗旨替えした要素が知りたいんですっ」
真顔のまま翔太に問いかける眞鍋の様子は、真剣そのものだった──。
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