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青蓮学園物語
10
 翔太の用事って……眞鍋の注意を引き付けてる間に、楓達をそっと逃がす事だったのかな?


 翔太が現れて約5分。

 一緒にいた椎名が居なくなった時点で、その考えは間違いでないと思う。

 きっと眞鍋が何かアクションを起こした時点で、椎名が翔太を呼びに行く手筈になっていたのだろう。


 だって久我と眞鍋が口論したところで、あの久我が上手くあしらえる訳もなく。

 余計に話が拗れる一方だったに違いない。


 久我だって人気者の1人なんだから……。

 あまり楓を庇い過ぎると逆に、悪影響の方が大きくなるのは目に見えていた。


 そしてすっかり当初の目的を忘れている眞鍋を見ていると。

 僕が話を聞いた時に想像したイメージが、どんどん崩れていく。


 もしかしなくても副会長に立候補したのだって、少しでも尊敬する碧に認めてもらいたかったから……だよね?

 乱立する候補者の中で自分が碧の次点になれたら、密かに自己満足できるタイプに違いない。

 どうせなら会長に立候補して、あわよくば碧と一緒に生徒会入りって方法もあったのに。

 それは碧の本意ではないと理解しての行動だったのだろう。


 眞鍋は良くも悪くも素直で。

 きっと自分の中で、可・不可を判断する独自の基準があるんだろう。

 そしてその基準値の中に僕は含まれていないに違いない。
 

 そんな事をぼんやり考えていた僕の耳に。


「こればっかりは、佐藤さんにしか聞けない事なんですっ!
 お願いしますから…っ」


 眞鍋の切羽詰った様な声が飛び込んできた。
 

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あきゅろす。
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