青蓮学園物語
9
眞鍋自身も洗礼対象者だって言うのだから、立場的に翔太と重なる部分があって。
きっと僕に出会う前の翔太は、眞鍋にとって尊敬に値する人物だったに違いない。
なのに、僕と付き合いだしてからの翔太は──。
僕がきゅっと目を瞑って俯いたのを見て、翔太が慌ててフォローする。
「うぁっ、ハル…っ、何で泣きそうなん??
こんなアホの言う事、いちいち気にしたらあかんって」
「なっ、誰がアホなんですかっ!?
俺ずっと学年5位から転落した事ないですからっ」
「成績だけしか物差しないんか、お前は……。
せやからアホや言うとんねん。
ハルの良さはお前の尊敬しとる奴らが全員認めとるのに、それが全くわからん時点でアホ言われてもしゃあないやろ?」
「ぐ……っ、確かに…っ」
俺の負けです……と素直に認める眞鍋の姿は。
あきちゃんたちが言うほど悪い奴ではないと、僕に思わせたけど。
逆に言えばここまで発言した内容も、全て駆け引きなしのストレートな眞鍋の感想だと気付かされた。
際限なく落ち込んでいく僕の様子に。
マズイと思ったのか、翔太は焦った声で眞鍋に告げる。
「んじゃ俺らの用は済んだから、もう行くで?」
「は?ちょ、ちょっとまだ質問に答えてもらってません…っ」
「全然言わんから、もうえぇんかと思っとったわ。
先言うけど、しょうもない事やったら答えへんよ?」
さっさと切り上げようとした翔太を、眞鍋は必死の形相で止めた。
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