青蓮学園物語
8
……あれ?
何人かのクラスメイトはまだ興味深そうに見学しているものの。
本来なら居るはずの人達の姿はなくて。
そう、久我と楓の姿が忽然と消えていたのだ……そして椎名も。
『……ぇ?』
「え?と、ちゃうから。
ハル……ほんま相変わらずボケボケやな……」
そう翔太は苦笑しながらも、僕の頭に触れる手は優しくて。
僕の失言に呆れている訳でも、怒っている訳でもなさそうだった。
そんな僕達の様子を見て、眞鍋は大きくため息をついてから。
「はぁ…っ、佐藤さんの趣味が全くわかりません……。
普段傍にいる結城さんや波多野さんの方が、何倍も魅力的じゃないですか?」
密かに好みが似ていると信じていたのに……と脱力する眞鍋の台詞に。
あの二人が好きなのはお前だけじゃないから!と心の中でつっこみながらも、僕は少しだけ凹んだ。
そりゃ、僕と翔太がつりあわないなんて。
最近はそうでもないけど、転校した直後は嫌になるぐらい言われたよっ。
だけど翔太自身がそれ以上に愛情を注いでくれたから。
僕はすっかり忘れていたんだよね……。
僕なんて子供っぽいだけの一般人で。
この学園で絶大なる人気を誇る洗礼対象者達と同等に付き合ってる事自体、周りの人から見たら有り得ない事なんだろう。
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