青蓮学園物語
2
そんな僕の心境を知ってか知らずか……。
翔太はにっこり微笑みながら、人目も憚らず僕を抱き寄せた。
「ホンマにハルはもう…っ。
そんなに俺に会いたかったんかっ?」
『え?あ、うんうんっ』
翔太との間に妙な勘違いが生じて居たが、この際合わせておこう。
羞恥心を抑えながらも無抵抗な僕に、可愛えぇを連呼してほお擦りする翔太の姿は。
張り詰めていたこの教室の空気までも変化させた。
はぁっ、もう今日は大人しく帰ろう。
翔太の居る前で、流石に楓にあの話は出来そうにないよ…っ。
智兄には2,3日中に何とかするって後でメールしたら良いよね?
ふと視線を感じて顔を上げれば。
翔太の背後に居た苦笑気味のクラスメイトと目が合った。
うーんと、確か椎名……だったよね?
翔太と同じ陸上部で、名前が近い所為か久我とも仲が良かったはずだ。
えっとでも、さっき教室から出て行ったんじゃ?
困惑する僕の視線に気付いた翔太が、耳元で囁く。
「ハル……この場何とかするから、もうちょいだけ話合わせとって?」
そう告げた翔太は、僕が何かを言う前にキスで唇を塞いだ。
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