青蓮学園物語
3
その声が聞こえた途端、それまで騒がしかった教室内がしんと静まりかえった。
その空気に驚いてすぐさま入り口を確認すると、過去に何度か姿だけは見かけた事のある奴が立っていた。
えーっと、誰だっけ?
あのネクタイは一年生……だよね?
『……あいつ誰?』
隣に居た楓に小さな声で確認したつもりだったのに。
声変わり前で男にしては少し高い僕の声は、静かになった教室内に想像以上に響き渡った。
うぁっ、しまった、目が合ったよっ!?
どうやら入り口の彼のところまで、僕の間抜けな声が届いたらしい。
どうしよう!?と自分の失言に焦る僕を横目に、楓はちっ、と小さく舌打ちした後。
楓は僕にだけ届く声で、今朝の一年だよ……と呟いた。
えぇっ、それって、問題の副会長じゃ?
確かに昼休み智兄の口から、楓に謝罪させるって聞いたけど。
更なるトラブルの予感に僕は頭を抱え込む。
なっ、何でこのタイミングで来るんだよーーーっ!?
やっと楓から久我を引き離せそうだったのにっ。
僕だって計画があるんだから、こっちの都合も少しは考えて欲しいよ…っ。
多少自分勝手な台詞を、心の中で呟いていると。
「眞鍋……何しに来たんだよ?」
完全に臨戦モードの久我がぎゅっと拳を固め、いつになく低い声で問いかけた。
[振り返る][様子を伺う]
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