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青蓮学園物語
2
 流石に智兄の事を警戒している久我の前で、不用意にその話をする訳にもいかないから……。

 久我が生徒会やクラブに顔を出す放課後しか、楓が単独になる時間はないのだけど。


 その千載一遇のチャンスを狙っている僕の気も知らずに、久我は楓一人で帰すのを心配してなかなか傍から離れなかった。


『僕が寮まで送るから心配しないで?』

「何言ってるんだよっ、相川と一緒に居る時が一番危険じゃないかっ!」


 どうやら久我の脳には、完璧に僕が敵だとインプットされたらしくて。

 実際智兄の命令で楓に接触しようとしている僕からすれば、言い返す言葉もなくて……。

 俯いて唇を噛む僕の様子に、楓がため息をつく。


「はぁ…っ、お前ら意識しすぎなんだよ。
 一応劇の件は丸く収まったんだろ?」

『うん、碧が正式に引き受けたから……』

「だったらもう二人とも気にするんじゃねぇ。
 ……お前らが周りで騒ぐと余計に目立つんだよっ」


 それでもまだ何か言おうとする久我を、楓は一瞥して。


「わかった……でも気をつけてね、楓?」

「はいはい、春樹と帰るから安心しろ」


 もうその話は終わりだとばかりに、そっけなくなった楓の態度に。

 それ以上何も言えなくなった久我が、しぶしぶ教室を後にしようとした時。


「失礼します」


 全く聞き覚えのない通った声が、2−Bの教室に響き渡った。
 

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あきゅろす。
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