青蓮学園物語
8
僕の質問を受けて、それまで笑顔すら浮かべていた南条の顔色が急に曇る。
えっ、触れてはいけない事だったのか??
もしかしてまだ決まってないとか言わないよね!?
お披露目はまだだけど、生徒総会のある月末までもう1週間ぐらいしかないんじゃないのか?
引継ぎだってあると思うのになぁ?と思ったところで、何故かあきちゃんがムッとした顔で口を開いた。
「会計は須藤が引き継いでくれてるんだけど、あいつセクハラ三昧でホントムカつくんだよね〜〜!!」
「あ、結局あのアホ引き受けたんや」
うぁあ、あの久我が須藤相手にまともに引継ぎ出来るのか??
マンツーマンでまじめに説明しても、気付けば違う話にすりかえられてそうで。
と言うか恋人である駆さんの目の前で、あきちゃんにセクハラするってどうなんだよ?
「はぁ…っ、雄飛の気が変わって引き受けてくれたのは良いけど。
予算牛耳って各部に圧力かけるって言ってた……」
「何でそんな奴に会計させるんだ?」
ため息交じりの南条の台詞に、怪訝そうな顔で碧が問い掛けると。
途端に南条が泣きそうな顔になって訴える。
「だってっ、副会長の眞鍋凄く怖いしっ。
その上何故か僕の知らないうちに、若狭が生徒会入りする事になってたんだよっ。
不本意だけどあいつらに対抗出来て、尚且つ僕が頼れるのって雄飛しかいないから……」
「あー、眞鍋と若狭って同室だからね」と優。
「上様だか若君だか知らないけど、あいつら1年なのに生意気なんだよね〜。
特にナルシスト眞鍋……駆さんや須藤には一目置いてるみたいだけど、僕と南条は完全に見下してるんだから〜っ!!」
思い出しただけで怒りに打ち震えるあきちゃんのヒステリックな叫びに、僕は耳を疑った。
『えぇ?ナルシストは兎も角、上様、若君って何?!』
「ハルは知らんわなぁ……。
1年の洗礼対象者で特に人気ある3人の事、通称御三家って呼ばれとるんや。
前ちょろっと説明した事ある主席の星野が王子様で。
副会長なった眞鍋の名前が上総で上様。
ほんでそいつとよぉ連んどる若狭って奴が若君ってあだ名やから」
『へぇぇ……?なんだか和洋折衷……だね?』
星の王子様だけじゃなかった事に驚きを隠せない僕の感想に、翔太は脱力しながら、せやな…と呟いた。
[振り返る][様子を伺う]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!