青蓮学園物語
4
もっともな翔太の怒りに怯み気味の二人は、どちらが結論を言うかで軽く押し付けあった後、南条がおずおずと口を開く。
「眞鍋が土下座する勢いで、結城にキングの相手役頼んでる最中に、その…っ」
「タイミング悪く……久我と…っ」
「シロップが来たんか……」
その台詞に僕は慌てて教室を覗くと、楓どころか久我も優も不在で。
『かっ、楓はどうしたの…っ!?』
「はるちゃんごめんっ、眞鍋がね…っ」
「相川利用して夏目さんに取り入ったのかって、見下すようにその楓とか言う奴に暴言吐いて」
「その台詞と態度に寝ぼけた久我がキレて、眞鍋に掴みかかったのは碧ちゃんがなんとか制止したんだけどね〜?」
「その間に楓って奴が無言で教室から走り去って」
「金子と久我が慌てて後を追ったんだけど…っ」
「完璧に結城がキレて…っ」
「碧ちゃん昨日からずっと怒ってたから〜」
「夏目さんに直に話聞いてくるって、眞鍋引きずって出て行ったのを、僕達黙って見送るしかできなくて……」
「「ごめんなさい…っ」」
そこまで必死で説明して、二人は同時に頭を下げた。
南条が半泣きだった理由もわかったけど…ね。
飛び出した楓については、久我と優が追ったのならもう二人に任した方が良いだろう。
問題はこの周りにいる野次馬達が、面白おかしく脚色して根も葉もない噂を流す事で。
折角築き上げた僕と楓の友情が、こんなところで終わってしまう可能性が高いって事だよね……?
僕が泣いたらあきちゃんと南条が罪悪感に苛まれるって頭では理解していても。
今の僕には次々に溢れてくるこの涙を、止める術がなかった──。
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