青蓮学園物語
4
しばらくはみんなの優しい手が嬉しくて、されるがままになっていたのだが。
途中からは流石に申し訳なく思えてきた。
『もう2ヶ月経つし随分マシになったんだよ?それに新しいところで再出発するつもりで来たからあんまり心配しないで?』
そういって微笑もうとした時、
きゅるるるるぅ〜〜☆
「「晶……」」
「ご、ごめ〜!だ、だってもう7時だよ〜〜?おなかすいちゃったっ」
「相変わらず空気の読めない奴め……」
「まぁ、ちょうどええわ、飯食いにいこかぁ?あ〜ハル、学生証忘れんとちゃんと持ってきぃや?」
『あ、うんうん』
そうだった、精算はカードでするんだったよね?
僕は初めていく食堂をイメージしながら、みんなの後を付いていく。
さすがに高級レストランみたいで、いろんな種類から好きなもの頼めば作ってくれるっていうのは小説の中だけだろうなぁ?
食堂のシステムもわからないので一番近くにいる翔太に確認してみる。
『食堂ってどんなところなの?メニューあって食べたいものなんでも選べるの?』
「アホ、そんなんやったらおばちゃんら作るの大変やん。それに栄養偏るやんか、好きなもんばっかり食べとったら」
まぁ、そりゃそうだけども。
僕は想像と違った事よりも、翔太にアホ呼ばわりされた事に軽くショックを受けていた。
アホは関西じゃほめ言葉だとかいうのは聞くけどさぁ……言われなれてないと意外と堪えるんだけど…っ?
そう思いながら翔太をじぃっと見ると、目を細めて僕の頭を撫でてくる。
「ハルはこう言ぅとこ初めてなんやったら、ファミレス感覚でもしゃあないわなぁ?」
そういって説明してくれた。
どうやら栄養士さんが考えた日替わり定食が3種類あって。
その中から好きなのを選んだら、入り口から入ってすぐの機械で食券を買うらしい。
それだけで足りない人や食欲があまりない人用に、麺コーナーとカレーコーナーがあるそうな。
ただし、夏休み期間中は利用者が少ないため、食堂の規模縮小で定食1種と麺・カレーしかできないらしい。
『あ〜、それでカツカレーかぁ……』
「なんでカツカレーが人気メニューだって知ってるの〜?」
そう言って波多野がこちらを振り返る。
『人気メニューかどうかまでは知らなかったけど、如月さんがお勧めだって昼間に言ってたから』
「あ、如月ちゃんにあったんだ?いろんな意味で面白い先生だよ〜あの人はv」
クラス担任はもってないけど、かなり人気があるらしくていつも生徒に囲まれてるそうだ。
『最初、ヤ○ザにしか見えなかったのになぁ…っ』
「あ〜〜、確かに今日の格好はありえんかったなぁ?
いつもはもうちょいマシなんやけどな、ヒゲも綺麗に剃っとるしやなぁ?」
服装も普段はアロハじゃなくて作務衣(さむえ)を着ていて、それがものすごく似合っているらしい。
そっか、相当慌てて迎えに来てくれたんだなぁ……と今更のように思った。
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