青蓮学園物語
7
売店で僕がお願いしたのは、楓の方のデザートも味見させてもらう事だった。
一瞬躊躇されたけど、少し考えた後OKしてくれたんだよねぇ♪
友達になってくれたとはいえ、最初は結構僕と距離を置いていた楓が。
最近少しづつ気を許してくれてるのを感じ取って、自ずと顔が緩む。
このままいけば、いつかオタクファッションの理由も聞き出すことができるだろうか?
楓が購入した新製品の秋冬限定とろふわカスタードプリンを口にしながら僕は思案する。
もしかして、この状況って。
『……チャンス?』
「はぁ?何がだ?」
ぶっ、何でこんな時に脳内発言が漏れるかな……?
逆に聞きたくても切り出せなくなったじゃないかーっ!
ホント最近頻度が上がってきたよなぁ??
独り言多いなんて、一人暮らしとかで人恋しい奴みたいじゃないかっ!?
症状が悪化するとそのうち冷蔵庫や洗濯機に問い掛けたりするんだよねっ?
すでにテレビとは会話が成り立つ僕は、ぼんやりそう考える。
しかし、このプリン美味…っ。
あぁっ、名残惜しいけど返却せねば……。
次は絶対購入しようと心に誓いながら、プリンとスプーンを楓に手渡した。
『あー、えっと。ゴチソウサマデシタ』
「なんでぎこちないんだよ?……口に合わなかったのか?」
流石に持ち主よりも先に食べておきながら、文句なんて言わないよっ!
『違…っ、逆においしくてもっと食べたかったからっ。
そっ、それよりも楓も僕の一口食べる?』
そう言いながら僕は、自分が購入したカスタードマロンパイを袋も開けずに楓に差し出す。
目には目を、歯には歯を、デザートにはデザートを。
頂いた時はちゃんとお礼しろ、という主義の雅史から植えつけられた行動パターンを、僕は何も考えずに実践した。
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