青蓮学園物語
6
何も無かったかの様に、袋からデザートを取り出す楓を見て僕は問い掛ける。
『楓……。もしかして僕の事、おやつ与えとけば機嫌良くなる単純な奴だと思ってない?』
確かにそんな側面もあるけどさぁ……。
だっておいしいもの食べたら幸せな気分になるのは間違いないわけで。
翔太や須藤に餌付けだと言われて、少しムっとする時はあるけど。
デザートそのものには全く罪はないのだ。
だけど、餌付けされたからと言って、誰にでも簡単に懐くわけじゃないのにっ。
未だに須藤には気を許してないのが最たる例だ。
「そう言う事を口にする時点で負けだろ?
本当に違うなら、そこまで気にしないんじゃないのか?」
それって勝ち負けなのかよーーっ!?
そ、そりゃ楓を手懐けようとしたらすっごく大変そうだけどっ!
だけど正直このまま負けっぱなしも悔しくて。
どうやったら楓を懐柔できるんだろう??
……僕のなけなしのプライドと好奇心が、楓攻略魂に火をつけた。
うーーーっ、と小さく唸る僕を横目で見て、デザートの蓋を開けながら楓は苦笑する。
「単純だとは思ってないけど?
むしろ春樹の場合は、逆に何考えてるのか良くわかんねーよ」
『そうかなぁ……?
みんな僕の考えてる事、手に取るようにわかるって言うけど……』
僕の意思とは裏腹に目が勝手に会話するんだよーっ!
「あー、その時々の事じゃなくて……。
物事に対する考え方というか、主観が少し人と違うかなぁって思うけどなぁ?」
『それって変わり者って意味?』
「何でそこで卑屈になるんだよ?
まぁいいや、一口欲しいんだろ?春樹が先食べて良いぞ」
そう言いながら、楓は購入したプリンを手渡してきた。
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