青蓮学園物語
5
『どうしたの楓?もしかして疲れた?』
「いや、そういう訳じゃなくて……。
はぁ…っ、上手く言えないけどさ……」
下手に怒ると無駄にエネルギー使うからなぁ?と思いながらそう問い掛けると、ため息混じりに否定される。
「放課後に誰かとこんな風にのんびり過ごすの、ホント久しぶりだな…って」
『え?久我とは一緒に行動しないの?』
それとも久我と一緒だと、全く落ち着かないのか?
「あー、久我は部活あるだろ?
それにあいつ、試験前はのんびりしてる場合じゃないから。
普段午前中ぼーっとしてるしわ寄せで、必死で俺のノート写してるぞ?」
『僕も人の事言えないけど、本気で手がかかり過ぎだね……』
苦笑混じりに話す楓を見て僕は考える。
人のふり見て我がふり直せじゃないけど、久我の行動見てると考え直させられる事が多いかも。
楓がいないとダメだとか言う割に、実際は部活動や生徒会で実績を残してる久我と比較して僕はどうなんだろう?
案外僕の方が、周りの人が居ないと何も出来ない奴なのかもしれないぞ?
僕とルームメイトになったばっかりに振り回され続けている翔太には、いくら感謝してもしきれないよね…っ。
「あっ、そう言えば、折角デザート買ってきたのに食べないのか?」
考えれば考えるほど深みに嵌っていく僕を、見るに見かねたのか楓が急に話題を変えた。
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