青蓮学園物語
3
未だ言い合いをしている二人を横目に、僕は考えていた。
翔太は口を開けばマシンガントークの関西人だが一見爽やかスポーツマンで。
波多野も黙っていたら美少女にしか見えないし、結城は濡れ羽色の黒髪に切れ長の涼しげな目元の和風美人……。
どうみても同性受けも良さそうなこの3人を前に、もしかして小説みたいに男のファンクラブとかあるのだろうか、と考えてみてふと気付く。
『……僕って虐めの対象になるんじゃ??』
ハッ、また思った事を口に出していた><;
「ハル苛める奴おったら、逆に俺が苛め返したるわ」
「おとなしいってだけではるちゃん苛める奴はいないよ〜?」
今の今まで口論していた二人がこちらを見てそう言った。
その横では結城も頷いている。
多少の勘違いが生じているのは感じたが、説明できないのであえて訂正しないでおこう……。
「はるちゃんはなんでこんな中途半端な時期に転校になったの?もしかして、前の学校で苛められたの?」
専業主夫だった父が亡くなって、家庭として成り立たなくなったからとも言えない。
ましてや、母が小説のネタのために転校させただなんて。
(それもBL小説)
『えと…っ。6月に父が亡くなって、そろそろ母が働かないといけなくなったから……』
大丈夫、嘘は言ってないはずだ。
だが場の雰囲気は目に見えて重くなった。
暫くじっとこっちを見つめていた翔太が、最初に口を開いた。
「あ〜〜、あれやわ。これから俺が兄ちゃんなってベタベタに甘やかしたるからな?
ハルもちょっとは寂しくなくなるやろ?」
こいつらも無駄に騒がしいから落ちこんどる暇はないで?と言いながら翔太は僕の頭を撫でた。
佐藤はホントに僕を弟にするつもりだったのかぁ……。
4月生まれだからきっと誕生日は僕のほうが早いんだけどなぁ、と思いつつ黙りこむ。
よしよしと頭を撫でられる感触が心地よくて、そのままじぃっと大人しくされるがままになっていると。
気が付けば他の2人も傍に寄ってきて、僕の頭や背中を撫でてくれた。
あぁ、父さんもよくこうやって撫でてくれたなぁ……。
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