青蓮学園物語
3
「はぁ…っ、アホだろ春樹……」
『翔太に言われ慣れてるから、あんまり気にならないけど…っ。
楓まで僕の事、アホ呼ばわりしなくても良いだろっ!?』
「いや、ちょっとは気に留めてくれ……」
脱力する楓と共に売店を後にし、僕達は玄関前に設置されたベンチに移動して来た。
売店で時間を潰して来たのが功を奏したのか──。
すでに玄関前は人がまばらで、コレなら優が出てきても見逃すことはないな、と僕は胸を撫で下ろす。
だって折角待ってるのに、気が付かなかったら意味がないよ…っ。
面倒見の良い人柄の所為か、優も同級生から下級生に掛けて人気がある様だったが。
如何せん翔太や久我に比べると存在自体が地味で。
あの二人ならどんなに周りに人が居ても見つけれる自信があるけど、全校集会で優を探せって言われたらきっと無理なんだろうなぁ?
良くも悪くも一見普通な優を想像して、僕はため息をつく。
なのに中身は……。
傍若無人なあの担任が、怯えて気を使うぐらいのクセモノなんだからホント侮れないよねぇ?
ここにきてやっと周囲の声にも耳を傾ける様になった所為か、同時に僕の周りにいる知人達への評価も聞こえてくる訳で。
周囲と完全に距離を置く楓に関しては、想像に違わず低評価だったが。
それ以外の関係者は全員、それぞれの学年で10本の指に入る人気ぶりだったのだ。
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