青蓮学園物語
10
だけどこの後どうしようかなぁ?
会議が終わるのを待つとなると、終了時刻なんて予想出来る訳もなく。
1時間から2時間は確実に拘束されてしまうのだ。
寮に戻ってから部屋を訪ねようかとも一瞬思ったけど、優のルームナンバーも知らない事に気付いたんだよね……。
今まで親しく付き合っていると思えたのは、優の方が気を使ってくれていたからで。
人から与えられる好意を甘受しているだけの人間関係しか築けない、自分自身を情けなく思った。
机に突っ伏して、はぁ…っ、と大きくため息をついたところで背中に加重がかかる。
「どうしたん、二人で辛気臭い顔して。
大ちゃんもしかしてハルの数学全然あかんかったん??」
「そんな簡単に結果出る訳ねーだろ。
少しでも早く知りたかったら、俺じゃなくて如月んとこ行けよ?」
どよーんとしたオーラを背負う僕と蓮見先生に、すっかり聞きなれた関西弁が声を掛けて来た。
「ハルは何で元気ないん?
大ちゃんに苛められる以外に何があったん?」
中腰で目線を合わせて顔を覗き込んでくる翔太に。
一瞬縋りつきそうになった僕は、慌てて踏みとどまる。
だ、駄目だ…っ。
人に頼ってばかりじゃ、いつまでたっても一人立ちできないよ。
例の勘違い事件があって以来、周りが気を使って成長を促してくれるのではなくて、自分の意思でオトナになろうと決めたのだから。
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