青蓮学園物語
9
優の一言でクラスの皆はすっかり帰り支度を始めているのに。
何故か考え込んだまま立ち去ろうとしない担任に、僕は声を掛ける。
『優があんな風に怒るの、僕初めて見ました。
それで……今日の放課後の優の予定、先生は何かご存知じゃないんですか?』
今日からクラブも解禁だから……。
オカ研顧問の先生なら何か知ってるかもしれないと思い、そう問い掛けると。
「あー、学祭の打ち合わせがあるはずだ。
面倒くさい事に確か俺も出席予定だ」
「あぁ……そう言えば、生徒会顧問もやってるんですよね?」
「しかし参ったなぁ……。
あいつがああなると、暫く誰も近づけんからな?」
詳しい話を聞くと、どうやら前にも2度ほど優がキレた事があったそうだ。
普段温厚な彼は、人が嫌がる事でも笑顔で引き受けてくれるのに。
どうやら溜め込むタイプで、色々な事が重なると今回みたいに爆発するらしい。
『試験勉強疲れもあるって事ですか?』
「あー、いや、まぁアレだ。
俺もついつい頼って厄介事押し付けてるからなぁ?
直接の原因は……まぁ…わかってるんだが……」
歯切れが悪い蓮見先生の言葉に、僕は首を傾げる。
それって怒りの大本の原因は先生って事なのか?
それでHRの時、進行役の優に気を使って、僕を議題に参加させようとしたって事?
だけど途中で話が脱線して周りの注目を浴びた為に、逆に優の怒りを買ったと。
そんな感じなのかな?
そして話を総合すると。
優に謝るチャンスは、打合せ会議が終わった後を見計らって、待ち伏せするしかなさそうだった。
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