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青蓮学園物語
3
 
「んで、下の名前なんていぅのん?学年は一緒なんかなぁ?
 ちなみに俺は今中等部2年やねんけど?」

『あ、春樹…相川春樹です。えと、僕も中2ですけど…っ』


 完全にマイペース大王・佐藤の雰囲気に圧倒された状態で、僕は初めて口を開いた。


「んじゃタメやなぁ〜?そっかぁ、春樹言ぅんか。
 せやなぁ……ほんならあだ名は何がえぇかなぁ?」


 そういって(勝手に)佐藤は考えこんだ。


「自分…呼ばれるんなら、はるっち・ハルッキィ・はるるん・はるちんのどれがえぇのん?
 俺のイチオシは【はるるん】かなぁ?なんか可愛らしいやん、はるるんってv」

『………はぁ?その中から選ばないといけないの!?』


 僕の口から想像以上に呆れた響きの声が出た。


「あれ気に入らんかったんか?ほんならしゃあないなぁ、普通にハルでえぇか?」


 その台詞を聞いて僕は思い切り頭を縦に振った。

 ここでイヤだと言えば、どんなあだ名を付けられるかわからない。


「んじゃ、ハル〜これからよろしくなー!!」


 と言って佐藤は正面からハグしてきた──かなりの馬鹿力だ。

 僕はその腕の中でもがきながら、前にもこんな出来事があったような軽い既視感(デジャヴ)を感じた。


『げふっ…くっ、苦しっ…か、らっ。ちょ、ちょっと手ぇ離すか、腕緩めてよ…っ。
 それとあのっ、あのね佐藤…っ。過去に僕と会ったことある?』


 僕の必死の台詞を聞いて、佐藤は軽く腕を緩めてはくれたが離す気は全くないらしい。

 その上佐藤は僕に抱きついたまま、とんでもない事を言い出した。


「ん〜〜?多分ハルみたいな子に逢ったら絶対忘れんやろうし、きっと逢った事ないんちゃうかなぁ?
 ……っちゅうか、ソレってナンパなん?もしかして俺、ハルに口説かれとるんかっ!?」

『はっ、そんn「それに佐藤やなくて翔太や!」』


 慌てて否定しようとした僕の言葉を遮って佐藤は続ける。


「佐藤って、うちの学年だけでも3人おるんやで?ホンマ訳わからんわ。
 きっと苗字で呼んでも、自分やと気ぃ付かんくて返事せぇへんよ?」


 せやから翔太な?と、佐藤はたれ目気味の目を更に下げて笑った。


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