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青蓮学園物語
5

『「………」』


 なーんとも言えないイヤな空気が、その場を支配していてめちゃめちゃ気まずいよ…っ。

 この場をなんとかして盛り上げようと、僕は思いつくまま勢いよく話してみる。


『あっ、あれですよね、あははっ、りょ…っ、寮ってどんなところでしょうねー?』


 ところどころ噛みながらも、僕は喋り続けた。


『よ、よくある小説だったら、高級ホテルみたいにシャンデリアがあったり、廊下に赤い絨毯が敷いてあったりするんですよね?
 あ、でもココってお寺関係だから、逆に立派な日本家屋だったりするのかな…っ?』


 そこまで言ったところで、前を歩いていた如月さんの足がぴたりと止まり、不思議そうな顔で僕を振り返える。


「はぁ?高級ホテルのような学生寮がでてくる小説なんて、私は読んだ事ないぞ?」


 うぁ、まーずーいーー!!

 口が滑りすぎたよ…っ。僕は背中に変な汗がだらだら流れるのを感じていた。


 そうだった……。

 母の職業の影響で【僕の常識=一般男性の非常識】だという事をすっかり忘れてたよ。


「シャンデリアとか防災上良くないだろう?もしも大きな地震があって万が一上から落ちてきたらどうするんだ?
 生徒を預かってる立場上、誰にも被害がなかったとしても、保護者に顔向けできないぞ?
 それにな、廊下に絨毯なんか敷いたら掃除が大変な上に、張替えなどの維持費がかさんでしょうがないだろ?」


 ご、ごもっともです…。

 これ以上しゃべると更なる墓穴を掘りそうだったので、微妙な空気のまま暫く黙って付いて行く事にした。


[振り返る][様子を伺う]

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