青蓮学園物語
不機嫌の代償
『なぁ、翔太っ、荷物まだ教室置きっぱなしだよ??』
ずんずん前を進む翔太に、僕は制止の意味を込めてそう言った。
しかし足を緩める気配は無くて……。
気が付けば僕達は寮の建物が見える位置まで移動していた。
えっと…っ、目的地は寮なのか?
『翔太ってばーー!
ちゃんと話してくれなきゃ訳がわからないよっ!!』
智兄が放課後迎えに来るって言ってたのに、約束破ったら後が怖いじゃないかーー!?
翔太が怒ってるのも見たらわかるけどね…っ。
僕からしたら、智兄を怒らせる方がもっと恐怖なんだよ。
何とか逃れようともがく僕の態度に、翔太は突然ぴたっと足を止めた。
そして僕に背中を向けたまま、翔太は搾り出すような声で僕に問いかけてくる。
「ハルは…っ、なんやかんやで寮長の事がいっちゃん好きなんとちゃうんか……?」
『はぁ!?っっ、絶対有り得ないでしょ、ソレだけは!』
「それやったら何で、ちびっと優しゅうされたぐらいで、めっちゃ嬉しそうな顔すんねん……」
『違うよーーっ!!
優しくされたのが嬉しかったんじゃなくてっ。
珍しく嫌がらせの矛先が僕に向いてなくて、気楽だなーって思ってただけだよっ!!』
「はぁ…っ、いつになくムキになるんが、余計に怪しいわ……」
あーりーえーなーいーーー!!!
よりにもよって、なんで智兄なんだよっ!!
その前に駆さんに頭を撫でられて、嬉しそうに懐いてた事はどうでもいいのかぁぁぁっ!?
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