青蓮学園物語
17
「それじゃ、もう時間がないから俺達は戻るよ。
春樹、放課後迎えに行くから、大人しく教室で待ってろよ?」
時計を確認しながら智兄はそう言って、残りの3人を引き連れて帰っていった。
後に残ったのは静まり返る2−Aの教室と。
いつの間にか装着していたあきちゃんを含む猫3匹と……。
「あれは間違いなく怒ってるな?」
『まずいよね……?多分僕が…っ』
「そうだな、寮長が翔太の独占欲、刺激して行ったからな……」
「あぁ゙?なんやねんそこ!
言いたいことあったらハッキリ言わんかいっ!!」
傍に居た碧と顔を近づけながら小さい声でボソボソ喋っていると。
ソレまで無言だった翔太の怒りの矛先がこっちに向いた。
ひぃぃっ、完全に八つ当たりだぞ、それはっ!!
『あ〜〜っ、そっ、そろそろ本鈴なるから僕も自分の教室戻るね…っ!?』
巻き込まれたらたまったもんじゃないよっ。
少し時間置こうと思った僕は、そう言って逃げようとした。
なのに──。
身を翻して出口に急ぐ僕の目の前に、偶然戻ってきた一人の男が立ち塞がる。
「あれ春樹君どうしたの?とっても可愛い格好してるね?」
にこやかにそう告げ、僕の退路を塞ぎ頭を撫でて来たその男の顔を見て……。
僕は新たな騒動が起こるのを覚悟するしかなかった。
その男は……すっかり存在を忘れていた、もう一人のトラブルメーカー須藤だった──。
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