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青蓮学園物語
16
 智兄は僕達に一通り説明した後、碧と僕を抱きしめながら翔太達に宣言する。


「君達が嫌がるなら、この二人に連帯責任で他の事してもらうからね?」

「はぁ?」「え?」


 翔太とあきちゃんが怪訝そうな顔で智兄を見つめる。


「とりあえず何させるか思いつくまで、この二人は俺の部屋に来てもらうから。
 こういう時は寮長って権限あっていいよねぇ?」


 後ろから抱きしめられているので智兄の表情を窺う事は出来ないけど。

 きっといつもの悪魔の笑みを浮かべているんだろう。


「ちょっと待ってくださいっ、僕はやらないとは言っていませんよっ!?」

「ふぅん、それなら波多野のルームメイトは返すよ。
 って事は、久しぶりに春樹と二人っきりでお泊り会だね〜?」


 あきちゃんの抗議の言葉に、智兄はあっさり碧から手を離す。

 ここまでは智兄の想定内だ。


 あとはどっちに転んでも面白い事になりそうだからいい、と智兄は言った。

 確かに何も意地悪しないと約束さえしてくれれば、幼馴染の智兄と一緒に寝泊りするのは何の抵抗もないんだけどね?

 翔太には悪いけど、嫌がらせの矛先が僕に向いてないから安心なんだよねぇ……?


 だからと言って、満面の笑顔でぎゅぎゅって抱きしめられると流石に僕も照れるんだけど。


「素直な春樹には、目一杯優しくしてあげるよ……?」

『智兄…っ』


 愛おしそうに目を細めながら、優しく頬を撫でる智兄に僕はクラクラした。

 それは僕が今までに見たことのない智兄の表情で。


 演技とはいえ……。

 そこまでフェロモン全開で迫られたら、ついフラっとしちゃうよ…っ。

 僕はその時、元No.1節操なし男の真の実力を垣間見た気がした。
 

[振り返る][様子を伺う]

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