青蓮学園物語
13
言い争う2人を全く気にも留めず、3年生4人はそれぞれが好き勝手に会話していた。
「相川は童顔だから、異常にこういうの似合うな……?」
そう言いながら、傍にいた駆さんが頭を撫でてくれる。
親しくなって分かった事だけど、駆さんは大の子供好きらしくて……。
恋人で小柄なあきちゃんや童顔な僕の事を、すごく可愛がってくれるんだよね?
優しく撫でられるのが嬉しくて、駆さんにゴロゴロ言いながら懐いてると。
いつの間にか背後に居た智兄が、チョーカーのリボンのゆがみを直してくれた。
「最初は春樹君だけだったんだけど、それじゃ面白味ないからね?」とキース先輩。
「しょうがないなぁ、佐藤。
そんなに猫耳がイヤなら、今週一杯海パンとゴーグルで肉体美を披露してくれても良いよ?」
笑顔でそんなことが言える智兄は、本気で性格が歪んでいると思うぞ?
「わかりましたっ!4人とも付けて過ごしますから……。
投票日までこれ以上の干渉はしないと約束してもらえませんか?」
「はぁ?ちょぉ待てや、晶っ?!俺は了承してへんわっ!」
「諦め悪いよ翔太っ!僕こんな事毎日やられたら金曜まで持たないよっ!!」
仲間割れを始めた2人の横で、歩さんが嬉しそうに碧の肉球を触っているのが見えた。
いつもなら本気で嫌がる碧なのに……。
選挙に協力してもらうからか、珍しく歩さんのされるがままになっていた。
そうやってると意外とお似合いなんだよなぁ?
猫耳を付けてる所為か碧もいつもより可愛く見えるし。
その横で穏やかな笑みを浮かべる歩さん……。
「あいつも馬鹿だよな」
『え……?』
二人をぼーっと見つめていたら、僕の視線に気付いた駆さんが僕にだけ聞こえる声で呟いた。
「最初から結果見えてるのに……。
忘れようと思って他の奴と付き合っても、やっぱり結城の事諦められないんだってさ……」
修羅場になって尻拭いする俺の身にもなれ……と呟く駆さんは。
少しだけ哀しそうに見えた──。
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