青蓮学園物語 2 出来れば一生来ないで欲しい……。 そう願えば願うほど、あっと言う間に時間は過ぎるもので。 気が付けば午前中の授業は終わり、嫌な予感を抱えたままお昼休みが始まった。 とりあえずお昼は食べずに集合だと言われていたので、僕はみんなの居る2−Aの教室に移動する。 「あ〜はるちゃん、わざわざありがとねー?」 『ううん、気にしないで〜?それよりも、その袋の山は一体何……?』 僕を見かけるなり声を掛けてくれたあきちゃんに、売店のロゴが書いてある袋の山を指差して訊ねる。 「えっとねぇ、陣営への差し入れだよ〜」 「あ〜ハル来とったんか? 悪い、話し込んで気ぃ付かんかったわ」 あきちゃんの声で気が付いたのだろう。 窓際で固まって話し合っていた集団の中から、翔太が声を掛けて来た。 「ハル、そん中から好きなモン食ってええから。 時間あんまないし、食事は5分で終わらしてな?」 『みんなは食べたの?』 「うん。選挙期間中だからって先生が気を使って、うちのクラス授業10分早く終わったんだよね」 成績優秀者が多い2−Aには、立候補者があきちゃんと碧以外にもあと2人居るらしい。 って事は、このクラス全員が味方って訳でもないんだねぇ? そう思ってぐるりと教室を見渡すと、前の方にお揃いの法被(ハッピ)を着た集団が居るのが目についた。 ……正直、選挙ってそんなに気合入れてやるものだったとは知らなかったよ。 前の学校なんて、ほぼ信任投票だけだったんだけどなぁ? 立候補した奴が毎朝5分ぐらい校門に立つだけだったぞ? 軽いカルチャーショックを受けつつ、僕は袋の中から日持ちしなさそうなサンドイッチとコーヒー牛乳を取り出して必死で食べる。 そこまで急がなくて良いんだろうけど、周りがバタバタして居る中で一人だけ食べてるのって落ちつかないんだよねぇ…っ。 そう思いながらコーヒー牛乳でパンを流し込んでいると、急に教室の空気がザワリと揺れた──。 [振り返る][様子を伺う] [戻る] |