青蓮学園物語
3
そういえば全寮制の学校って事は……?
母の小説のようにホモのカップルが大量に生息してたりするんだろうか?
僕個人としては、昔から母の書いた本を読んでいる所為か、恋愛対象にはあまり拘りはないんだけどね?
いわゆるバイセクシャルという奴だ。
実際キスぐらいなら男の先輩とふざけてした事もある。
もちろん女の子と付き合った事も。
軽い人見知りはあるものの、親しくなった人にはとことん懐くし、好きになったら男も女もない──そう考えてはいる。
ただ自分の性癖はそうだとしても、他人の男同士の絡みはあまり見たいものではないなぁ?……とも思った。
全寮制の学校って事は。
母の小説みたいに立派な門がある広大な敷地内に、バーンとお城みたいな校舎が建っていたりするのかなぁ?
王道展開なら迷子になった僕と、偶然出合った美形の生徒会役員とが情熱的な恋に落ちたりするんだろう。
──そんなの現実じゃ、どう足掻いてもありえないよね?
そうやってこの学園での生活をいろいろ想像してみるとなんだか笑えてくる。
父が亡くなってからずっと沈んでいた僕だったが、ここに来て久しぶりに楽しい気分になってきた。
母の仕事が落ち着くまでの編入だと言っていたし、そう考えるとこんな生活めったに出来ない経験だから僕は思い切り楽しもうと心に決めた。
どうせならカツラと黒ぶちメガネでオタクルックに変装してくれば、もっと面白い事になったのかも?
母も取材しろって言うぐらいなら、勧めてくれたらいいのに……と今更のように思う。
変装解いた時のギャップに驚く周囲の反応が面白くていいよねぇ?などと、どうでもいいことを考えていると。
「そろそろ着きますよ〜」
タクシーの運転手がそう告げた。
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