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青蓮学園物語
2
 今まで住んでいた街から、何度か乗り継ぎつつ電車に揺られること1時間。

 ずいぶんのんびりした駅に着いた。


 母から渡された資料によると、新しい学校はこの駅から車で20分ぐらいの高台にあるらしい。

 寮から綺麗な夜景が見えるらしいよ?とか暢気な事を母は言っていた。


 転校する学校まではバスもあるそうだが、本数が2時間に1本だった……。


『はぁ…っ、どうしてこんなことになったんだろっ』


 先ほどから口を開けばため息しかでないよ…っ。

 待っても暫く来そうにないバス停で、がっくり項垂れてうだうだして居たものの。

 何の解決にもならない事に気づいた僕は重い腰を上げた。



『青蓮(しょうれん)学園の校門前までお願いします……』


 とりあえずタクシーを拾い、後部座席でこれから通うことになる青蓮学園の資料を広げて見る。


 前もって僕が母から聞いたのは、この辺りでも有名な中高一貫の進学校であり、なおかつお金持ちのご子息様が多いとかで。

 資料を見るとミッション系なのか、宗教の時間があるらしい。


『聖書とか読んだこともないや…』




 今まで通っていた公立の中学は、正直いってあまりガラの良い方ではなかった。

 学校をサボってファーストフードでうだうだ時間を潰したり、ゲーセンで暇つぶしにナンパしたりと言った生活もこれからは出来なくなる。


 実際そんなところから、急に良家のお坊ちゃまが通うような学校に転校して本当にやっていけるのだろうか?


 母が売れっ子小説家(BLだけど)でかなり儲けてるので寄付金の問題はないだろう……。

 しかし家柄や親の職業を問われるとちょっと困るのだ。


 我が家が一般家庭な事よりも。

 母が男同士の恋愛小説書いて儲けてます♪──なんて男子校で言ったらどう反応されるんだろう?!

 ちょっと考えただけで寒気がしてきたぞっ;;


 こんな事をわざわざばらす必要もないし、出来るだけ秘密にしたほうが良さそうだった──。


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