小説(長編) 失恋 SIDE 淳 分かっていた。 こんなことすぐにバレる…バレて俺が振られることなんて初めから分かっていたんだ。 ただ少しでも夢を見たかった。 弟に自分を重ねて、自分が彼とデートしている気分を味わっていた。 虚しいことだと知っていても…。止められなかった。 でも早めにバレて良かったのかもしれない。 弟にも無茶苦茶な要求をしていたし。 彼がきっぱり振ってくれたことで、スッキリもした。 まだ彼のことが好きだけれど、次の恋をするまでは思うことを許してくれないだろうか。 あの日からメールのやり取りはしていない。 アドレスを消そうとはしたけれど…まだ出来ていない。 早く消さなきゃなぁ…と思ってもなかなか消せないでいる。 「はあ…」 携帯を握りしめて溜め息をついた。 [前へ][次へ] [戻る] |