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七色学園
友達の友達は友達(y)

「ゆっきー、数学の教科書貸してくれへん?」

それは突然だった。

「ん。いいよ、どしたの?」
「それが数T持ってきちゃったんよ〜。やってもーた」

去年クラスが同じだったけんちゃん。
彼はしっかりしてるように見えて意外とドジだったりする。

「面白い間違えだね、…はい。」
「ありがと!」



「けんちゃーん、けんちゃぁーん!」



…どこかで聞き憶えのある声がした。


「てつやん。」

あれ、知り合い?

「てつぅ!」

「あ!けんちゃん!」
「どしたん。2年の教室まで来て。」
「けんちゃん昨日俺の数T持ってったやろ?俺次数学やねん!」
「あ、てつのやったんか!これ!」
「もー!俺が数U持ってても意味ないやろーっ」
「せやなぁ。あ、ゆっきーごめんな!」
「ううん。別に、」

「ゆっきーっ!?」

けんちゃんを押し退けて小川君が顔を出した。

「なんっ!けんちゃんゆっきーと知り合いだったん!?」
「え、や、逆にてつゆっきーと知り合いだったん?」
「ゆっきーと言えば俺が常々大好きゆうてたやん!」
「普通友達が本人だとは思わないと思うで。」

なんだこの二人、
漫才見てるみたい。

「うわーっけんちゃんずるいわぁ!!俺と言うものがありながらゆっきーとめっちゃ遊んでたんやろ!」
「なんやその言い方!俺が浮気してるみたいやん!」

「あのさ、」

「ん?ゆっきーどした?」
「お取り込み中悪いんだけど、あと三分でチャイム鳴るよ」

「へっ!?」

ここから一年生の教室へは三分はかかる。慣れてない小川君ならもう少しかかるかもしれない。

「あかんっ!間に合わないわ!けんちゃんありがと!ゆっきーまたライブ行きます!」

そう言って小川君は人の波に消えていった。

「……元気だね。」
「元気やなぁ…」

「けんちゃんは小川君と…」
「ん、幼馴染みで兄弟みたいなもんやで。」

なるほど、確かに先後輩というよりは兄弟みたいだ。

「ていうか僕けんちゃんにバンドやってるって言ったよね?」
「あぁ、てつには黙ってたん。てつがかっこいいだの愛してるだのゆってんのおもろかったからな」

愛してるって…
確にファンの子はよく言ってくるけど、けんちゃんはそれを聞いて僕を想像してたわけだからなんとなく恥ずかしい。

「あ、ライブも行ったで。」
「えぇっ!!!!やめてよ!!」
「やー、さすがに中学生ひとりでライブハウスは危ないやろ?てつ結構可愛い顔しとるし」
「確に危ないとは思うけど…」

僕的にはけんちゃんが何も言わずにライブを見に来てたのが恥ずかしいんだよ。
気付け!

「てつなぁ、中学んとき結構ナンパされたり襲われかけたりしてたんよー」
「…小川君男だよね?」
「てつの服装見れば分かると思うで。今度出かけてみ!」

そうですか。
多分でかけないと思いますが。



なんだかニコニコしているけんちゃんがうざくって、僕は彼の足に蹴りをいれた。



友達の友達は友達




そのときの僕は気付いていなかった。
意外とこれが運命の出会いだって、


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あきゅろす。
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