七色学園
不明瞭な気持ち(k)
「け、んちゃ」
「え、や、あの」
「今「言わんで!!!!!!!!」
「その、ゴメン。頭冷やしてくるわ」
大きな目を更に大きくさせて、唖然とする君を置いて美術室を出た。
不明瞭な気持ち
「〜であるからしてー」
「一年生の歓迎会は…」
何で俺、キスなんてしたんやろ。
それから一週間。俺は一度も美術室にはいかなかった。どんな顔をしていいのかわからないのだ
あぁ。中央委員会の議題なんか頭に入ってすらこない。
(確にはいどはかわいいと思うけれども!)
「…さん」
「けんさんっ!」
「ほぁぁぁっ!!!!!!」
「委員会終わりましたよ。大丈夫ですか?」
「あ、うん。ちょっと考え事してて。」
「やめてくださいよ。大事な委員会なのに。」
「えへー、たつろくんこわぁい」
「けんさん…」
彼、逹瑯は新入生であり、HR委員である。
委員会&部活の後輩だ。
「…ねぇ。もしとある子にキスしたいなーって思ったらそれは気まぐれと恋どっちだと思う?」
「は?恋バナですか。」
「うん。逹瑯だったらどうする?」
「そーですねー…」
――少なくとも、そうやって悩んでるって事は気まぐれなんかじゃないと思いますけど。
まさにその通りなのかもしれない。
ざっつらいと。
しかしこの気持ちを認める訳にもいかないのだ。
(…とりあえず、美術室行ってみよう。)
一週間ぶりに訪れた美術室は、ヤケに静かだった。
「はいど?」
中まで入ってみれば、角椅子を並べたベッドに横たわる黒髪。
その前には一枚の絵。
(やっぱ綺麗やな…)
そっと黒髪を撫でてみる、
「ん、」
「あ、」
どうやらお姫様を起こしてしまったらしい
「けん、ちゃん」
「はいど…?」
「ごめん、なさい」
「え?」
彼は、俺の手を掴んで言った。
「好き、なんて嘘やから……かえってきて、」
分かった。
彼は、孤独に慣れているようで孤独が一番嫌いなのだ。
虚ろな瞳から一滴流れると、姫はまた眠りについた。
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