[携帯モード] [URL送信]

七色学園
涙のワケ(k)
ドアを開けたらそこには天使が座ってました。

そんなの信じる?



「はいど!」


可愛い幼馴染みを置き去りにして駆け出した彼を追った。

そんなに体育は得意そうではない彼なのになかなか追い付かない。

「ちょ、まちい!!」

ついたのは美術室
(だってはいどにはここしかないはず)

「はいどっ」

返事はない。
美術室は静かだ。

「おらんの?なあ、」

なんで逃げたん、

なんでそんな―――

カラン、

「?」

画材をしまう棚の方から音がした。
まさか中に?
いやいや、こんな狭いのに……、

ガラッ

「………おらんか」

溜め息をついた先、あれ?この棚、三段構造やん。

再び開ける。

「いた…」

綺麗な黒髪が隠れていた。

「なんでそんなとこにおるん?」
「………」
「はーいどっ」
「…め」
「え?」

「こないで」

え、はいどさん?

「どっかいってや。」

手で押されるけど、



「泣いてる?」
彼はビクッと肩を揺らした。

「泣いてなんかっ…」
「泣いとるやん」

手を引っ張って棚から引きずり出す、
その顔はやはり涙に濡れていた。

「なんで?」

彼は首を振る

「なんで?」

今度は強めに、




「…俺、きもちわるい…」

「………?」

はいどが気持悪い?
気分悪いとかやなくて?

「あかんの、」
「何が」



「けんちゃんが…」

その、長い睫に涙をたっぷりためて、













「けんちゃんが好きなんよ」








君はいった。









涙のワケ


濡れた瞳に吸い寄せられてキスをした。



え?

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!